盲導犬

市営地下鉄に乗っていた時だった。

のほほんとしていると、目の前に犬がいた。

「なんぞや・・・?」

チッ、チッ、チッ、ポーン♪

どうやら訓練士と盲導犬らしい。

頭の良い犬で、GO!と言うと進むし、

セイ!らしきことを言うと止まる。

生活面で頭の悪い生徒よりは、かなり頭脳が優れてらっしゃる。

最初は、ちょっと距離の離れた所にいたのだが、

徐々に近づいてくる。

THATからTHISの距離へ。

人にも目を向けず、訓練士の命令通り動く犬に関心しているその時だった。

なんと、私だけ特別扱い!

私だけ匂いをかいだ・・・。

訓練士も「あっ!」って顔をした。

傷物にされた。

お嫁にいけない・・・。

「あなた、責任取りなさいよ。」

と言う言葉は、訓練士の性別を確認した結果、心に閉まっておいた。

なぜ、私だけ?

犯罪者発見?

仲間意識?

確かに、顔がミスター軽犯罪と言われていたことはある。

強く否定できない自分が悲しい。

しかし、それは過去の事。

前科なはずだ。

まさか、時効になっていないのでは・・・。

海外には言ったことがないので、その分の引き算はない。

だが、いつから軽犯罪者顔だったのかは自分ではわからない。

3歳の時の写真を見ると、それまでは違うと言える。

その後は・・・。

スカートめくりをして母親に正座させられた記憶はあるのに・・・。

そして、本の数秒前まで目の前の女の人を可愛いと思っていた。

「責任とって♪」と言われたら、その場で婚姻届を出してもいいぐらい。

もしや、その顔が軽犯罪・・・?

おれ、もう疲れたよ・・・。

自首します。

今度生まれてくる時は、お前と違う形で出会えたら・・・。

ピッコロさ〜ん!

・・・。

さて、もう一つの可能性の検証だ。

残念ながら、これも身に覚えがある。

私は、名字から「バター」というあだ名がつくことがままある。

変態性、中性、純粋性で言うと、変態性に当たる輩が、

ただからかう為だけに「犬」を付けて私を呼ぶ。

しかも、こやつらの困る点が一つある。

AND条件かOR条件か判定できない純粋無垢?・猫かぶり?な女子が、

わたしに「バター・犬」って何?って聞いたときに、

すべてを私に委ねる点である。

「あなた、責任取りなさいよ!」

ってここで使えば良かった・・・。

ちなみに私は、バターが好きではない。

今度、生まれ変わったらお前とバター・・・。

ピッコロさ〜ん!

・・・。

答えは出なかったので、とりあえず盲導犬募金に500円を入れるのであった。