降り注ぐ追想の淡雪
- 作者: 尾田栄一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/12/04
- メディア: ペーパーバック
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大井町線から乗り換える間際でメリー号が出てきて、
長年自分と付き合ってきた自分は、
「これはやばいな!」とその時点で感づいていた。
田園都市線に乗り換え、地下に入ると同時に、
メリー号は儚く壊れていった。
地下の暗さを抜け、桜新町駅の明るさを迎えた時、
メリー号には追想の淡雪が降り注いでいた。
電車の中で少し泣いてしまった。
家でもう一度読み直し、こうなったら思いっきり泣いておくかと吹っ切れた。
枕を切り刻み、振りまくる。
その時、空中浮遊する綿のように、涙が出た。
何か溜まっていることもあるだろうが、吹っ切れた所がでかいのだろう。
正しい事を本気でして上げた時、人も物も言う言葉は「ありがとう」しかない。
そんな気がした。