ニュートン
悟空が界王星にいき、最初に苦労したもの、重力。
普段意識していない重力に、まさか自分も苦労することになるとは・・・。
私は、渋谷から東急田園都市線の1両目に特に何も考えずに乗り込んだ。
席が開いていないことは、なんとなくわかっていた。
そこで、とりあえず真ん中らへんのつり革につかまり、明日のことを考えていた。
当然、明日のことを考えると、ため息が出るものである。
無言の溜息とともに下を向いた時であった。
私の目にインパクトそのものが飛び込んできた。
なんと、目の前の外人さんの胸が「これでもか!」と言っているのだ。
とりあえず、私はぎゃふん!とつぶやいた。
下を向いた人生なんてつまらないじゃないか!と自分に言い聞かせ、
まっすぐ前をひたすら凝視した。
しかし、何かがいつもと違っていた。
今日の田園都市線は、首だけ重力10倍なのだ。
私の首は、重力に持っていかれる。
必死に重力と戦った。
三軒茶屋までどうにかその荒行に耐えていたが、
駒沢間でとうとう私は、力尽きた。
そして、私の目に飛び込んだのは、インパクトであった。
外人さんがおばさんに代わっていたのだ。
・・・。
急に重力が軽くなったことは言うまでもない。