思いを込めて



電車に座り、向いの窓のずーっとずーっと奥に見える、

真っ赤な真っ赤な夕日をただじーっと見てた。

本当に綺麗で、何か頑張ろうと思えた。

そんな事を思った自分が少しおかしく、

ただほんのりと笑みを浮かべた。

少し幸せな感じがした。

・・・。

「何見てるのよ!!」

怒声と共にビンタガ飛んで来た。

目の前には超ド級のブスが立っている。

足も細くないのに、超ミニスカート。

メイクは、浮世絵師志望のように見える。

顔面偏差値は、28。ゆえに大学受験は不可能。

ブス検定は、10段。6冠達成はすぐ目の前。

何をされたかよくわからず、脳は答えを出すためフル回転している。

そんな状況下でも、自分のスカウターがこいつの見た目数値だけははじき出した。

必死に整理し、冷静に言った。

「あの、あなたを見てたわけではなくて、窓の外に見える夕日を見てたんです。」

・・・。

目の前にいる浮世絵師は、あからさまに「えっ、うそ。やってもうた」って顔をした。

制汗剤だと思ったら、殺虫剤だったみたいな顔をした。

が、しかし、

「変な髪形して、夕日なんか見てるんじゃないわよ!!」

・・・。

そして、浮世絵師は去っていった。

この思い、あなたに届けり。

「言いたい事も言えずに♪」

ワンツ〜