思いやりのある男

サッカーをあきらめ、仙川駅から渋谷に向かう。

明大前で乗り換え、井の頭線に乗ろうとした時だ。

一番前の車両に乗るのが一番ベストなことを知っている私は、

当然先頭車両の待ち広場に陣取ろうと意気込む。

しかし、ここで異変を感じる。

女性が異常に多いのだ。

悪夢がよみがえる。

同じことを2度繰り返さないのが大人の男。

しっかり確認しなきゃね♪

胸の大きいグラドルを気取り、

先頭に並んでいる人の前に書いてある言葉を確認する。

「思いやりゾーン」

・・・?

思いやり?

このゾーンと女性専用車両が異なるものかどうかがよくわからない。

ふとある一言を思い出す。

私の母親の教えである。

「女性には、特に思いやりを持って接しなさい!」

まさか、井の頭線に母の教えが浸透している・・・?

偉大な母・・・?

ここで一つの疑問がよみがえる。

私の地元で起こっている、私だけが不思議に思っている現象だ。

なぜか、私に挨拶しない地元の後輩達が、私の母親にはしっかり挨拶をしている。

私の母親に会った事ない、ましてや私とも特に関わりのない人が、

母の天才的な面白さを知っている。そして、語っている。

もしかしたら、有名人なのかも・・・?

とにかく、思いやりゾーンに乗ってみることにする。

すると、男がいっぱいいた♪

母の教えが浸透しているわけではなさそうだ。

しかし、なぜ母は地元で有名なのだろう?