改心は難しい
「蛾はいいけど、蝶だから殺しちゃ可愛そう。」
以前に、こんなことを言う女がいた。
「うち、虫がいっぱい出るので、平気ですよ。」
と言いつつ、蛾を嫌悪するこの女は一体・・・!?
この女に反し、私は蝶も蛾も同じように対応していた。
左手に勇気、右手にアースジェット。
虫を殺めるという心の痛さよりも、
虫を殺めるという労働力の空しさを強く感じていた。
今日、22時ごろに入ってきた蛾に対し、
迷いもなく、アースなあいつを装備した。
あいつなしでは、蛾と私の戦闘力は大差ない。
左手の勇気も、ひどく微力になる。
ジェットなあいつを浴びた蛾は、のた打ち回った。
時間は、彼をピクピクに変えた。
私は、悪いことをしたと思った。
だから、もう虫も、生きている仲間として、
尊重しようと、心に決めた。
新たな決意を胸に、仕事を止め、
(決して投げ出したと認めてはいけない、)
対象の定まらない予感を感じながら、靴を履いた。
いや、履きかけた。
予感が、履くスピードを極端に抑えた。
異変を感じ、中を見ると、そこにはカナブンがいた。
私は、静かにカナブンを壁に投げつけた・・・。